2016-03-29










『NATIONAL DAY』 解説:村山 和馬
M-2 かいじゅうたちがいるところ

タイトルからしてモーリス・センダックの
絵本のイメージかなと思いましたが、
聞いてみると彼の絵本の世界だけでなく、
その裏には映画キスメット
(アラビア語で「運命」または「采配」)の世界観
というイメージも感じられました。
なぜかというと、モーリス・センダックの絵本も
キスメットも「日常からの脱却と回帰」という
大きなテーマを持っているからかもしれません。
さて、曲についてですが、
この曲、イントロでいきなりやられます。
ディレイ??もしくはシーケンスをうまくずらして
表と裏を交互に感じさせる
カレイドスコープのようなリフが流れるなか、
シンセのシンクを使った音が入って来て、
マニュアルで片方のオシレーターのピッチを変更するという
細かい音作り、入ってくるキック!!
ここで、あれ??ってイントロのリフは実は裏??
と戸惑ったところにベースが戸惑いから戻してくれる。
この部分が絵本の中の日常からの脱却の部分であり、
キックとベースが新しい世界への入口という感じですね。
さて、このベース、ただのベースじゃないのが
この曲のすごいところ!!!
ベースにフィルターをちょい閉じて、
レゾナンスで特徴ある音にしたシンセベースを被せていまして、
これが実に気持ちいい感じ。
また真龍のノーマルヴォイスに絡む
オートチューン系ヴォーカルエフェクトを通した
志風妙美のヴォーカルが、
新しい世界観(異空間)を出しています。
さらに、ノイズを上手く使った音色を使っているところ、
ノイズを使って音を作ると
思いも寄らない効果があったりするのですが、
ノイズを使って音を作るのは難しいのです。
そこにSimple Is.の繊細さと拘り
そして、凄さを感じます。
ギターは、この曲ではスペーシーな感じで
1曲目とはまた違った雰囲気でこの曲のぼやけた
(境界線がハッキリしていないという意味)感じをだしている。
終盤で更にハッキリ判るのですが、この曲のドラムのキック、
スネはシンセ??で作った音が被っているようです。
キックはレゾナンスを発信させて??
スネはノイズ??で加工??でしょうか??
これがまた、この曲のエッジのぼやけた感じに
凄くマッチしています。
そしてラストはSEで終る、
何だか一つの物語のようなこの曲、いいです。